環境新聞(2025年1月22日)

環境新聞 掲載日:令和7年(2025年)1月22日(水曜日)

フードバンク・子ども食堂の普及を提言

自民党PT、堀内元オリパラ相らが浅尾環境相に
政府「食品寄付」等のガイドライン策定へ

政府は3月末までに「食品寄付ガイドライン」と「食べ残しの持ち帰り促進ガイドライン」を策定する方針を固めた。
これは、自民党の環境・温暖化対策調査会と消費者問題調査会の「食品ロス削減・食品等寄付促進プロジェクトチーム(PT)」による提言を受けたものである。
PT座長は、かねてよりフードバンクや子ども食堂の普及促進に取り組んできた堀内詔子・元オリパラ担当相(元環境副大臣)、
座長代行は宮下一郎・元農林水産相が務めている。
併せて、食品ロス削減の新目標についても閣議決定される予定だ。

政府が12月25日に発表したガイドラインの概要によると、「食品寄付ガイドライン」には、
提供元・提供先における合意事項として、保存方法、期限表示、アレルゲン情報などの提供食品の情報の共有、品質確保・管理、転売の禁止、事故時の対応などが盛り込まれている。
さらに、安全面の管理として、必要な設備の設置などによる食品の品質・衛生管理、受取・輸配送時の検品(期限表示や破損の確認)、施設の衛生管理(清掃など)も定められている。

また、提供時の注意点としては、保冷剤の提供などの衛生上の取り組み、食品表示情報の伝達と管理が挙げられ、
トレーサビリティの観点からは、名称・数量・期限・アレルゲン・入出荷年月日・寄附者および提供者の名称などの記録作成と保存が求められている。
事故時の対応としては、フードバンク向けには損害賠償保険の在り方、子ども食堂等については既存のボランティア用保険の活用を含めた議論が行われている。

「食べ残しの持ち帰り促進ガイドライン」については、事業者が民事上または衛生上留意すべき事項として、
飲食店などにおける安心・安全な持ち帰りを実現するための衛生的対応、具体的には持ち帰り食品が十分に加熱されていること、清潔な容器に入れていることなどが示されている。
一方、消費者に求められる行動として、持ち帰る際および持ち帰った後の食品の管理の責任は基本的に消費者にあることを十分に認識するよう求めている。
食品衛生上の観点から、温度の高い場所に放置しないこと、速やかに喫食すること、異臭などを感じた場合には喫食しないことなども提示された。

堀内氏はフードバンクに取り組むようになったきっかけについて、
「2012年の初当選直後から、地元・山梨で日本のフードバンクの草分け的存在である米山恵子さんのお手伝いをしてきた。
クリスマス用に寄付品を箱詰めしていたとき、ある奥様が『うちの離婚した娘がフードバンクに登録していて、とてもありがたい』という話を聞いたことがきっかけだった」と語っている。

また、食品ロス削減に取り組んだ背景としては、
「私が東京オリパラ終了後の担当大臣(2021年10月~2022年3月)のとき、準備されていたおにぎりが何千個も廃棄されたことや、
地元・山梨のコンビニでパートとして働いている奥様から『弁当なんか、そのまま捨てられて、もったいないよ』という話を聞いたことがあった。
そんなとき、小泉進次郎・元環境相や井上信治・元消費者担当相(自民党温対調査会長)から『どうか』という声がかかり、2022年6月に自民党PT座長に任命された」と述べた。

農林水産省によると、2022年度の食品小売業における食品ロス発生量は49万トンに上る。
公正取引委員会の2020年の調査によれば、コンビニ1店舗あたり、毎日19個のおにぎりと5個の弁当が廃棄されているという。

こうした現状を踏まえ、自民党食ロスPTは2024年12月20日、浅尾慶一郎環境相らに対して「食品寄付」と「持ち帰り」のガイドラインを早急に整備するよう提言した。
さらに、事業系食品ロスの新たな削減目標として、2030年度までに2000年度比で60%削減することを掲げた食品リサイクル法の基本方針の改定を提案している。

提言を受けて、政府は12月24日に関係閣僚(代理を含む)出席のもと「食品ロス削減推進会議」(会長:伊藤良孝・消費者および食品安全担当相)を開催し、
「食品寄付」および「食べ残しの持ち帰り促進」のガイドライン案を了承。
2025年3月末までの策定を目指すことを決定した。