空き地や空き家が増えた?
皆さん、身の回りに空き地や空き家が増えたと感じることはありませんか。
実は、日本各地で、空き家の増加が問題になっていて、この20年で空き家が約1.5倍(849万戸)に、その中でも、賃貸用や売却用などを除いた長期にわたって不在の住宅は349万戸で、この20年で約1.9倍となっています。
私の地元山梨県でも、このような利用見込みのない空き家が、全住宅ストックの8.7%と、全国平均(5.6%)を大きく上回る状況で、問題を肌身で感じています。
「空き家・空き地対策」待ったなし!
国も、平成26年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」を制定し、倒壊等の危険が高い「特定空き家」に対する市長村の修繕・除却(取壊し)等の指導、勧告、命令などが導入され、これまでに、全国で14万戸の空き家の取壊しや修繕等がされましたが、まだまだ対策が追い付いていないという声を聞きます。
私も、この問題は安全安心な暮らしや次の世代の社会のために待ったなしだと思い、現在、政府・与党で検討が進んでいるこの問題に、積極的に関わっています。
空き家特措法は法改正の検討進行中
まず、先ほどの空き家特措法は、法改正の検討が現在進行中です。倒壊のおそれまではなくとも、管理が不十分なもの(例えば、窓が割れていたり、雑草が繁茂していたりするもの)については、新たに「管理不全空き家」として、市町村が指導、勧告等を行うこととし、従わなければ固定資産税の優遇措置を解除するなど、周囲に悪影響を及ぼす可能性のある空き家への早期の対応が検討されています。
また、空き家の所有者がその活用・管理を専門家に相談しやすくする環境整備策も検討中です。空き家の適正管理や利活用が図られるよう、空き家でお困りの住民の方や、対応に追われている自治体のニーズに寄り添った対応が求められています。改正法は、現在開催中の第211回通常国会で審議される見込みです。
また、空き家のうち相当数が、そもそも所有者不明の状態(登記簿を調べても、持ち主がすぐにわからない)になっていることも、対応を困難にしています。これについては、2つの対応策を打ち出しました。
「所有者不明土地・建物管理制度」
今年(令和5年)4月から、始まる新制度です。
持ち主がわからない近隣の土地・建物のゴミ投棄や悪臭で困っている場合や、その不動産を購入したいと考える場合に、裁判所に、真の持ち主に代わる管理人を選んでもらい、その管理人に管理・処分を行ってもらうことが可能となります。裁判所の手続きや費用が必要ですが、これまでよりぐっと負担が軽くなっていますし、市町村も申し立てることが可能で、国による補助金制度も使うことができます。
「相続登記の義務化」
こちらは来年(令和6年)4月から始まる新制度です。
持ち主が亡くなったときに相続人が不動産の名義変更をせずに放置しておく状態が数代にわたって続くと、所有者不明の不動産になってしまいます。来年4月からは、土地・建物を相続した場合には、税金の手続きなどに加え、法務局で相続登記の手続きをすることが新たに義務となります。もっとも、相続から3年の猶予期間がありますから、司法書士などの専門家のアドバイスも得ながら、相続登記を進めていただきたいと思います。
身近な問題として必要な対策を引き続き
ご紹介したように、空き地や所有者不明土地の問題は、少子高齢化が進む日本が抱えるとても難しい課題ですが、対策が待ったなしです。国も、自治体と連携して対策に乗り出し、新制度の準備や検討が進んでいます。
空き家や空き地のこと、私たちの暮らしや将来にかかわる身近な問題として、必要な対策を引き続き講じてまいります。