産後ケアとは

出産直後の母親はホルモンの劇的な低下により、疲労と精神的に不安定な状態にあると言われ、周囲のサポートが必要です。子どもにとっても、「愛着」を形成する上で、最も大事な時期と言われます。

母親となった女性の心身を癒し、親子の愛着形成、 また親としての自立を促し、社会復帰への援助や、子育て不安の解消、孤立を防ぐことが大切です。

産後ケアとはそうした産後の女性を包括的にサポートするものです。

 

 

産後ケア法案成立

産前産後のお母さんの心と体に寄り添いながら、お母さんが安心して明るい気持ちで子育てができるように、超党派の議員連盟で推し進めてきたのが、いわゆる「産後ケア法案」です。この改正母子保健法が令和元年11月29日、秋の臨時国会で成立、12月6日付で公布されました。

改正法の趣旨は、出産後の母子に対する心身のケアや育児指導などのサポートを行う「産後ケアセンター」の設置をはじめ、産後ケア事業の実施を市町村の努力義務に位置づけるものです。

これまで「産後ケア事業」は自治体の任意事業でしたが、今回の改正によって法律上に位置付けられ、今後は市町村への財政支援がより手厚くなり、施設整備、保健指導、育児相談など全国的な子育て支援に関わる環境整備が進められます。

成育基本法推進議員連盟(自民党・河村建夫会長)の発足時、助産師や保健師が母親への保健指導などにあたる「産後ケア事業」を行っている自治体は全国の約4割にとどまっていました。このため議連では、これらの事業を法律で位置付け、全国的に広げる必要があるとして議論を重ねてきました。

 

努力実る

私は、平成28年2月25日に衆院予算委員会の分科会 (※1.質疑要旨) で自民党 を代表して質問に立ち、産後ケアについて政府の方針を確認、その後、子育て孤立したり、精神的に不安になったりとケアが必要なお母さんに対して、心身ともによりどころとなる拠点づくりを厚生労働省や自治体に働きかけてきました。

に平成28年1月完成した「産前産後ケアセンター ママの里」(※2.ホーム ページ) についても厚生労働省に働きかけを続けました。県と市町村が連携して宿泊型産前産後ケア施設に取り組むのは全国初のケースでした。

過疎地域で市町村単独で産前産後ケア事業を行うのは財政面などでも大変難しく、やはり広域的に取り組まなければ少子化対策に寄与できません。この壁を破りたいと思い、厚生労働省への働きかけを続け、多くの皆様の力でようやく実現にこぎつけました。

堀内詔子
産後ケアハウスについて伺いたい。アベノミクスをさらに進めるには、女性が輝き活躍できる社会をつくっていくしかない。その一つの鍵が少子化対策だ。

OECDのデータからは、(少子化対策として)女性の育児負担の軽減が有効と言われている。政府が目標とする出生率は 1.8。政府は主に保育の受け皿拡大や保育人材の確保に重点を置いている。

しかしこれは都会に偏り過ぎた政策のように思う。 多くの赤ちゃんは地方で生まれている。地方にも目を向けた少子化対策が必要だ。

山梨県では、保育園の待機児童については良好な状況だが、出生率は 1.4。出産をめぐる状況は医師不足などを背景に厳しくなっている。

例えば、出産という女性の体が一番つらい時期にもかかわらず、正常出産の方の入院日数が年々短くなっている。これは病院に泊まる期間が短くなっていることを示している。

この1月、山梨県に、お母さんがゆっくり宿泊しながら助産師さんに気軽に育児の相談ができる産後ケアセンターが開設された。県と市町村が連携して広域産後ケアを行うもので、こういった試みは、日本で山梨県が唯一だと聞いている。

この理由は、国からの財政支援を受けられないからだ。妊娠・出産包括支援事業の対象が市町村に 限られているから、どの市町村でも単独にこのような産後ケアセンターは持つことができない。

このままでは、大都市しか産後ケアはできなくなる。県と市町村がともに実施主体として母子保健政策が行えるようになってほしいと思う。全国に山梨のような産後ケ アモデルを広げていくことはできないだろうか。

政府参考人
産後支援も含めた母子保健事業は、できるだけ妊産婦の身近な地域で提供するということが望ましい。

母子保健法の中で、例えば新生児訪問とか健康診査、妊産婦健診、 あるいは指導など、さまざまな保健指導の実施主体は基本的に市町村ということでお願いしている。

他方で、非常に小さい市町村では、そもそも妊婦の数が少ないというようなことも あるので、単独の市町村では難しいという議論もある。さまざまな工夫はあり得るのではないかと思う。必要に応じてよりよい方向に見直しをしていきたい。

堀内
産後ケアセンターについて、もう一つの視点から質問したい。山梨の施設立ち上げの時、産後ケアセンターはお母さんと赤ちゃんが入る施設であるにもかかわらず、医 療施設ではないために (※宿泊するということで) 旅館業法の適用を受けることとな ってしまった。

厚生労働省では民泊関連で旅館業法の運用の見直しを検討しているが、産後ケア事 業を行う施設こそ適用を見直すべきではないか。

政府参考人
医療機関であれば旅館業法は適用されないため外れるが、産後ケア事業については、昨年12月に閣議決定して、ガイドラインをきちんと、どういった形になっていればいいかを整理して、それをまず28年度中に形でつくり、それを踏まえて、旅館業法の適用をどうするかということについて調整、検討している。

旅館業法では衛生管理等いろいろ規制があるが、どういった形で産後ケア事業の形をつくるかということに合わせて旅館業法の解釈なり運用を考えて、平成28年度中に方針をお示しするということで検討している。

堀内
日本全体が少子化に直面している。その中で、女性のよりどころとしての産後ケアハウスが山梨にできた。大臣もぜひ視察して、この取り組みを広げてほしい。産後ケアハウスについて、塩崎大臣の所見を伺いたい。

塩崎恭久厚生労働大臣
市町村の事業であるのが基本だが、(山梨の産後ケアハウスは) 全国に先駆けて県も一緒になって作られた産後ケアハウス。先駆的なものでありできれば拝見したい。

退院直後の母子が、心身ともに非常に微妙な、デリケートな時期にあって、そこにケアが必要だし育児のサポートも必要である。

市町村が母子保健施策の実施主体ということで、平成26年度から、まずは市町村を実施主体として、退院直後の母子に対して心身のケア、育児のサポートを行う産後ケアを実施している。平成28年度では、前年度と比べると2倍の160の市町村で実施に必要な予算を計上している。

市町村が中心だがケースによっては県と一緒になってやるということもある。いずれにしても、子供を育てるということに非常に役立つ、そしてまた産後の難しい時期を乗り切るためのプラスになる、そういう事業が全国で展開されるよう期待している。

産前産後ケアセンター ママの里 HP http://www.kenkoudai.ac.jp/sangocare/

議員連盟で議論を重ねる

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