令和2年度予算編成の議論スタート
政府が7月31日の臨時閣議で令和2年度予算の概算要求基準を了承したことを受け、各省庁は8月末にかけて概算要求を提出しました。これが来年度の予算編成に向けて本格的な議論のスタートとなります。
8月30日に締め切られた各省庁の概算要求の集計では、社会保障や成長戦略に重点配分する「特別枠」4兆4000億円を含めて、一般会計の要求総額は6年連続で100兆円を超え、9月5日に財務省が発表した総額は104兆9998億円になり、2年連続で過去最大を更新しました。
これを受けて財務省が各省庁からヒアリングを行い本格的な折衝が続きます。そして12月、「閣僚折衝」などを経て、最終的にクリスマスの頃に令和2年度の政府予算案が閣議決定されます。
今年10月の消費税増税に伴う景気対策費を元年度に続き上積みする方針ですので、12月末に策定される2年度予算案は、元年度の101兆4571億円を超えることが予測されます。
「人生100年時代」への年金・医療・介護などの社会保障費
国の予算の3分の1ほどを占めるのが厚生労働省予算です。高齢化社会への対応が求められ年金・医療などの社会保障を担っているためです。概算要求額は令和元年度当初予算比で6,593億円増えて32兆3200億円となっていす。
これから合理化・効率化について政府・与党内での議論が活発化していきます。厚生労働省関係では来年4月の薬価・診療報酬改定の議論も本格化し、歳出抑制への圧力が強まると思われますが、主張すべきものはしっかり主張していきます。
厚生労働省は医療などを充実させるため、地域医療構想や医師の偏在対策、医療従事者の働き方改革の推進などの予算確保を求めていきます。「医師少数区域」などでの医師の勤務環境改善や医療従事者の労働時間の短縮に取り組む医療機関も支援する仕組みを考えていきます。山梨県にとりましても大きな課題です。
このほか、健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくり、がん対策の推進、6月にまとめられた認知症施策推進大綱に基づく取り組みの推進、また介護の受け皿の整備や介護人材の確保策にも力を入れます。
健康寿命世界一の長寿社会を迎え、人生100年時代に、高齢者から若者まで、全ての人たちに活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくることが重要な課題です。誰もが何歳になっても活躍できる社会の構築、地域活力の再生、新時代にふさわしい仕組みづくりのための予算編成ができるよう、議論を尽くしてまいります。
少子高齢化、人口減少という大きな壁に直面している今こそ、経済社会の構造改革と全世代型社会保障への転換を一層進めていくべきと考えています。
介護人材確保に関しても、平成29年に介護職員について、経験などに応じて昇級する仕組みをつくり、月額平均1万円相当の処遇改善を行いましたが、さらに経験・技能のある職員に重点化を図るなど、「介護離職ゼロ」を目指して介護職員の処遇改善に取り組んでいきます。
魅力の掘り起こしと創造的取り組みで地方経済の活性化
地域の活性化は地域に根差して事業活動を行っている小規模企業の活力向上が大きな要素になります。小規模企業の事業が活性化すれば地域全体が全面的に活性化するでしょう。小規模企業の振興と地域経済の活性化は一体なものとして考えていかなければなりません。地域の魅力を掘り起こし、それに創造的な取り組みを加えて、内外に浸透させていくことが重要です。これが地域のブランド化・活性化につながります。
国の関係省庁、県や市町村及び支援機関・団体などが適切に連携を図ることが必要です。小規模企業とともに持続・発展する地域づくりのため様々な席で議論を高めていきます。小規模企業への支援策は高齢者の就業促進策にも効果が期待できます。このことは、地域に生活し働きたいと考える高齢者の希望をかなえることにもなります。
政府・与党がいろいろな角度から打ち出している施策、「⼥性活躍の推進」「若者・就職氷河期世代に対する就労支援」「障害者の就労促進」「希望出生率1・8%の実現に向けての総合的な子育て支援」、そして「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」-など、加速化・深化させていくことが地方経済の活性化にとっても重要なことです。