大切な臍帯血(さいたいけつ)のために
今回は「造血幹細胞移植法」についてお書きしたいと思います。でも、どうか「難しい!」と思わないでください。臍帯血のお話です。
臍帯血とは
臍帯血とは、赤ちゃんのへその緒と胎盤にある血液のことで、造血幹細胞が多く含まれています。白血病や再生不良性貧血などの血液疾患の患者さんにこの幹細胞が移植されれば、造血機能が再生されます。
適合確率90%以上
とはいえ、造血幹細胞移植を成立させるには白血球の型を適合させる必要があり、非血縁者間で適合する確率は実に数百から数万分の1だといわれています。
このため、今から6年前に造血幹細胞移植法を制定し、広く国民の皆様から臍帯血のご提供を募り、採取した臍帯血を調整・凍結保存しながら、白血球の型が適合する患者さんに提供する「公的バンク制度」を創設いたしました。
保管臍帯血数が約1万件、適合確率が90%以上、昨年の移植実績が1,334件を記録するなど、この制度が確実に効果を発揮していることは本当に嬉しいことです。
その一方・・・
こうした公的バンク以外に、ご本人やその親族のために臍帯血を保管するためのプライベートバンクもつくられてきました。それはそれで自由なのですが、問題はそうしたプライベートバンクが破綻し、ご本人やその親族に臍帯血が返還されないだけでなく、保管臍帯血が不正に流出・販売される例が出てきたことです。これまではこうした販売や仲介を取り締まることはできませんでした。
臍帯血の適正な管理・提供のために
そこで、公的バンク以外の者が移植に用いる臍帯血の保管・販売のみを行うことや、造血幹細胞移植用として、臍帯血の販売・引取りを行うことを禁止するため、造血幹細胞移植法の見直しを行うことになりました。すでに超党派で合意が得られ、先の国会で法改正が行われる予定でしたが、国会日程が窮屈でしたので、残念ながら先送りとなりました。
臍帯血を必要とされている方は多いですし、これによって健康になる、元気に生きられる方も少なくありません。臍帯血の適正な管理・提供のため、次の国会で早期の成立を図ってまいりたいと思います。
赤ちゃんを出産予定のお母さんへ(臍帯血関連情報)|厚生労働省
赤ちゃんを出産予定のお母さんへ(臍帯血関連情報)について紹介しています。