【火山議連の富士山視察】防災対策の現状を共有し意見交換を実施

7月14日(日)、火山噴火予知・対策推進議員連盟(火山議連)による【富士山視察】が行われました。活火山である富士山の防災対策等の現状について、静岡・山梨両県の関係者と共に現地視察や意見交換を実施しました。

静岡県での視察

静岡県では、須川橋の露頭を訪れました。ここは国道246号線の視距改良工事の際に出現したもので、過去2万年間の富士山噴火の履歴を観察できる貴重な場所です。最上位には1707年の宝永噴火の火山灰層が約100㎝見られ、巨大露頭には富士山の爆発的噴火と山体崩壊の痕跡が多く残されています。その後、宝永噴火で埋没した小山町須走地区に足を運びました。この地域は宝永噴火の際に約2メートルの火山灰が堆積した地域です。

山梨県での視察

続いて山梨県に移動し、の堀内茂市長や自治体職員と合流しました。まず、「道の駅富士吉田」で市街地にたどり着いた土丸尾溶岩を観察しました。その後、市街地に最も近い火口である「雁の穴丸尾溶岩の火口」に向かいました。道の駅から車でほんの数分のところにあります。この火口は、2018年1月に発生した群馬県・草津白根山の噴火をきっかけに、最新技術により発見されたものです。

昼食と意見交換

昼食時には、富士山科学研究所にて、御師の家「筒屋」さんによる御師料理をいただきながら、国、県、市の担当者や富士吉田市の消防団、自主防災会、防災士会、婦人会、学校長などの住民の皆様と共に、取り組みの報告や意見交換を行いました。この意見交換の場では、地域が抱えている課題やニーズを共有することができました。それにより、国としてどのような対策が必要かを具体的に考える機会となりました。地域の皆様と協力しながら解決策を見つけるための重要な機会となりました。

富士山北麓地区の視察

昼食後は、国交省富士山北麓地区砂防事業(浅間沢遊砂地)や文部科学省防災科研V-net FJ5富士山四合目観測点を視察しました。砂防事業については、2021年3月の大雨の際に富士北麓付近の砂防施設(宮川堰堤工)が効果を発揮しており、被害を未然に防ぐことができました。住民の命を守る要となる重要な事業です。また、観測点がいかに富士山の調査研究や活動の監視に大きく貢献しているかについて、さらに精度向上のための対策について情報共有できました。

富士山五合目の視察

最後に、富士山五合目では観光客の混雑状況を視察しました。富士山は登山や温泉など魅力的な観光地であり、観光と安全の両立が常に求められています。今夏よりオーバーツーリズム対策の一環で入山者数を制限していますが、防災面からの取り組みも重要です。

視察のまとめ

この視察を通じて、関係者一同が顔を合わせ、情報共有や意見交換することの重要性を再認識しました。火山活動の歴史から学ぶこと、最新技術により明らかになったり可能になったりすること、そして国・県・自治体関係者や地域住民の皆様の連携により防げることなどそれぞれの役割を最大限発揮することが、命と生活を守ることにつながると改めて思いました。引き続き、地域の声を直接聞きながら、関係者と協力し合い、より実効性のある火山防災対策を推進していきたいと考えています。

富士山5合目に設置された登山口のゲートは、午後4時から翌日午前3時までの間、登山道を閉鎖する規制を始めました。

 

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